マネジメント系記事例

以下は、私なりに考えたベンチャー企業の定義について多角的に書いた私のブログ記事(文字数約3,450文字)です。教科書やネット記事ではなく、現場の経験による読み応えのあるマネジメント系記事も得意としています。

特に、この記事は「ベンチャー企業」・「ベンチャー企業 社長」という検索語句を意識した記事にしています。また、最後の見出しの「ベンチャー企業に欠かせないこと」は読後感を考慮した実話で構成しています。

参考:ベンチャー企業とは何か | ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

最近、突如として私のサイトがYahooで「ベンチャー企業」と検索すると10位内外に入っており、「ベンチャー企業」という検索語句で私のサイトにYahoo経由で来訪される学生各位が多い。

学生各位の参考になるかどうかはともかく、ベンチャー企業の社長をしている私が思う、「ベンチャー企業」とは何かについて少し書いてみたい。

私の会社、私自身を紹介しているわけではないが、私の会社も私もこれから書くような企業・社長に少しでも早く近づきたいと思っていることだけは確かだ。

ベンチャー企業に欠かせないモノ

私はベンチャー企業に欠かせない最たるものが「成長志向」にあると思う。

もう少し詳しく言えば、「自らが持っている技術やサービスをできる限り、多くの人々に提供していきたい」という強い気持ちがあるということ。「できる限り、多くの人々に提供する」ためには、自らの企業が大きく成長しなければ、ごく僅かの人々にしか喜んでいただけない。

それでは駄目だと考えることが結果として「成長志向」に繋がるのではないだろうか。

よって、たった一人であったとしても「自分が自信を持つ技術・サービスを早く世に広めたい」と考えているのならば、立派なベンチャー企業だと私は思う。社員の人数や、資本金の額など関係ない。

ベンチャー企業と中小企業の違い

中小企業とベンチャー企業に明確な区分は無い。あえて言うならば、上述した「成長志向」があるかどうかだと思う。

「現状維持」で満足するか、もっともっと今以上に、それこそ明日、明後日という単位で、成長したいと考え続けているか、いないかだろう。

中小企業の経営者の皆様とも様々な形でお付き合いさせていただいている。

ただ、わずかばかりの違和感を覚える時がある。それが先に述べた「現状維持」で利益が出ているから良いじゃないか、という雰囲気を感じることなのかもしれない。

ベンチャー企業、中小企業いずれも経営危機に直面する可能性は必ずある。しかし、ベンチャー企業の方が危機に直面する可能性が高い。なぜなら「リスク」をとるからである。常に冒険しているといってもいいだろう。

もちろん、「冒険・挑戦」と「リスク」は表裏一体であり、失敗すれば即座に大きな危機に陥る。

ただ、「世間の人のためにこの企業は存在している」という確固たる自信があれば、そしてそのことを第三者も既に認めていてくれれば、応援してくれる方が必ず存在し、危機に直面した時に「救いの手」を差し伸べていただける。

換言すれば、損得勘定無しにこの会社のためならと考えていただく「外部の応援団」・「多くの救いの手」の数が多い企業が「ベンチャー」なのではないかと私は思う。

もちろん、中小企業の方々にも「応援団」は多数、存在するだろう。ただ、危機に直面した時、応援団は助けてくれるかもしれないが、内部の人間、いわゆる社員、そして外部の人間、いわゆる取引先が逃げていく可能性は高い。

危機に直面した時こそ、入金を早めてくれるお客様、支払いを延ばしてくれる取引先が多数、存在する企業が「ベンチャー」だと私は思う。

そして、単なる「金儲け集団」に「本当の応援団」は存在しない。「金儲け集団」こそ危機に直面した際に、見せかけの応援団だけでなく内部からも人はすぐに逃げていくだろう。この点については、昨今の経済・金融関連の事件で社会を騒がせた事象からも明らかだ。

ベンチャー企業の社長とは

基本的に「社長」というものは、なってみなければ、どんなものか想像できないものだ。また具体的に「社長とは何か」と定義することも簡単なようで難しい。

ベンチャー企業、中小企業、いずれも「社長」というものは、常に重圧を感じ、すべてにおいて最後の責任を負う。この点については「社長」となった瞬間に誰しもが同じだ。恥ずかしい話だが、私も何度も眠れない夜を過ごした経験がある。

これらは「社長」であれば避けて通れないこと。避けられるはずも無いことだ。ただ、「ベンチャー企業の社長」は、多くの場合、辞めることはできない。他に頼む人間が存在せず、辞めようにも辞められないということだ。

経営的観点から見れば、社長に大きく依存し、他に社長にふさわしい人間が存在しない企業はリスクが高く、不安定な状態といえる。

しかし、多くのベンチャー企業では「社長は一人」というのが現状だろう。

もちろん、会社が社会的な不祥事を起こしてしまえば、責任をとって辞めることがあるかもしれない。しかし、その時には、既にベンチャー企業は破綻したと同じ状態になっているだろう。

換言すれば、「社長は一人」であり、「社長が辞めざるを得ない状態になれば終わり」といった状態の企業がベンチャーだろう。だからこそ、「ベンチャー企業の社長」には「大きな責任と覚悟」、そして「繊細なる戦略が伴う挑戦」が必要だと私は考える。

学生ベンチャーについて

昨今、「学生ベンチャー」という言葉が使われるようになった。

私も交流会などで名刺交換する機会も多くある。ただ、先に述べた中小企業経営者とは、少し違った違和感を覚える。学生ベンチャーを否定するつもりはもちろん、まったく無い。学生ベンチャーには「成長志向」もあり、素晴らしい技術を持っている方も多数、おられる。

ただ、「自分の人生をどんな一生としたいのか」・「自分は何を成し遂げたいのか」を明確にしてから、事業を始められればいいと私は思う。

そしてもっと重要なことは、事業には「責任と覚悟」が必要ということを十分に理解してからという点だ。この「責任や覚悟」といったものが、学生各位にはあまり伝わってこない。

「技術・サービス」が先にあるのではなく、「自分はどんな人生を歩みたい」かを明確にし、覚悟を決めた上で、自らの技術やサービスを世に広めることが自分の人生計画と合致するのであれば、高校生であろうと大学生であろうと、胸を張って起業されればいい。

私の場合

私は、米国留学後、将来、人生すべて捧げるつもりで、ある会社に入った。そして、少ししてから、グループ会社へ出向した。しかし、数年後に親会社は倒産した。自分の祖父が創り上げたホテルチェーンだが、事実上、つぶれたわけだ。

親会社の倒産後もグループ会社は事業を継続していた。しかし、こちらで働かないかという多くのお誘いを受けた。ありがたい話であったがお断りした。

なぜなら、「これが私の運命なのだ」と考えていたからだ。

親から留学費用を出してもらい、将来は恐らく社長になるであろう祖父が設立した会社に入ったが、数年後にその会社は倒産。私に与えられた運命がこれなのだと受け止めた。

そして、私はグループ会社の取締役を続け、今、緑化関連の事業を続け、社長となった。学生時代には想像もできなかったことだ。

倒産など想像もしない時にも「自分はどんな人生を歩みたいか」について、もちろん考えていた。ただ、倒産後、その人生計画は大きく変化した。ただ、ホテルマンから緑化関連とまったくの異分野の仕事であるが、「多くの方々に喜んでいただく」という気持ちに変わりは無い。

そして、倒産という経験をしたからこそ、本当の「責任や覚悟」・「社長の重み」・「お金の大切さ」というものを実体験から学んだと私は考えている。

ベンチャー企業に欠かせないこと

私の会社の副社長は私の弟である。二年ほど前に取締役から副社長へと昇格した。

彼と共に、ある企業へ訪問した。私は何度か訪問しているが弟は初めての会社だ。相手先の社長と話をしている際に、私の弟は突然、泣き始めた。

何とかその場を終え、私は弟に聞いた、「なぜ泣いたのかと」。

弟は答えた。「我々は相手先の社長が思っている以上に心を込めて仕事をしている。それがほとんど評価されていないように残念ながら感じた。それが悔しかった」と。

自分の仕事に誇りと熱意を持ち、その誇りや熱意が伝わっていない時に、悔し涙を人前でも流す人間がいる。

これがベンチャー企業にとって、絶対に欠かせない側面の一つだと私は考える。

追記
背伸びして上場を目指す経営者に対する10のお願い

私は、小さな企業の社長をしていますが、ご参考になれば。